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信念 (2/2回目)


マックシステム (2013.06.25 09:00) | 代表コラム|

 
 それは私がちょうど愚息をこの学校に

入学させようと思っていた頃に起きた。

なんと、前監督が兄弟校に教員復帰し且つ学校から支援を得て、

このスポーツ部を創設したのである。

晴天の霹靂とは正にこの事で、

勝手に辞職し(本人の不祥事)

無責任極まりない状況を作り、

教え子に責任を被せた男が有望な選手を

手当たり次第に集めて監督復帰したのである。

私は前監督の人間性を疑ったが、

それ以上にこれまで献身的に支えてくれた様に

見えたOB達(前監督の教え子)も

兄弟校に鞍替えし、自分の子供達を入学させるなど、

ついこの前まで先輩面していた連中が手のひらを返したのである。

その状況を当時の私は理解すら出来なかったが、

要は兄弟校同士で且つ師匠と教え子の争いが始まったのだった。

争いと言っても、現監督も状況が理解出来ない。

この前まで時々アドバイスをくれたり、

一緒に呑んでいた師匠が

多くのOBを従えて、敵になったのだから、

並みの神経の持ち主ならここで勝負あり。

しかし現監督には「道徳」と「信念」と、

それを理解しているOB(現監督の教え子)や保護者が集っていた。

それでも何とか奮闘し、1年目、2年目と

兄弟校との対戦では勝ったが、

埼玉インターハイが開催された3年目にして初めて敗れた。

幸い開催県は2校出場の為、

予選では負けたがインターハイでは3位となり、

予選で勝った相手チームは2位となった。

この年を境に徐々に潤沢な支援の差で有力選手を

集められるライバル校の優勢の時代が続いたのだが、

創部した前監督は4年目にしてまたしも不祥事を起こし

学校から去って行った。

道徳なき自己の利益で物事を進めても長続きはしない。

スポーツ全般に言える事だが、

勝ち続ける為には資金も必要だろうし、

もちろん有力選手も必要なのだが、

有力な選手は個性も我も強い。

いくら高校生と言えども、

そのような人間を統制して行くには、

揺るぎない信念と指導力が無ければ、

チームとしてまとめられない。

また、勝ち組に乗る様な浅はかな人間が集まる場所は

利己心の強い保護者も多くトラブルも絶えないと聞く。

複数の人間が集まり、

利己を主張し始めたらどういう状況になるかは、

推して知るべし。 

それは、人間の性と言うべきもので、

そもそも歴史が証明している。  

あれから6年、それでも相変わらずライバル校は有力選手を集め、

更に昨夏はインターハイでも優勝を果たした。

 

 しかし不思議な事に、お互いの凌ぎ合いの中で

変化が生まれてきた。

雑草選手のレベルが年々上がっているのである。

元は雑草集団だが、長年の計画で地元の子供達を幼少から育て、

長期育成をコツコツと我慢強く継続してきた結果、

中学生達も有力な選手に育ち、

スポーツエリート対雑草の構図が、

水や肥料が良い物(指導)だから、

すくすくと大きく育ち、

今年は6年振りに立場が逆転した。

その中心となった選手も勝った選手もレギュラー全員が

子供の頃から知っている選手達であった。

「継続した信念は実る」を結実し、

まざまざと関係者に示して頂いた。

私自身が思う事は、手のひらを返し勝ち組に

乗った輩が憎い訳でも何でもない。

部活動と言えども、勝った負けたと一喜一憂する

喜怒哀楽がある一方で、

子供の育成即ち、家庭では教えられない集団行動や考え方や

困難な状況をどう克服して行くのか、

また仲間との絆などなど多くの教えがあり、

選手生命より成人/社会人として

生きて行く時間が遥かに多く長い。

この人間形成に大きく寄与する大事な時間だと考えている。

それが、これまで教えてくれていた先生が、

ある日突然に親の都合で敵に変わり、

訳も分からず悪口を聞かされる。

これほど残酷な子育てがあろうか。

子供に躾や道徳を教えなければならない筈なのに、

子供に対して、どう向き会うのか不思議でならない。

自分が親だったら何と子供に説明するのか、

想像もつかないが、そうでなくても恥が先に立つ。

小さい時は誤魔化せても、中学/高校/大学と

子供は大人へと変わって行く。

その過程の中で親の判断や対応を子供は絶対に忘れはしない。

それが親としての価値観?なら、

ましてや私の親がそうであったならば、

間違いなく一線を画す。

それ程大切な正しい価値観を

この監督は示してくれているのだ。

 
 
 この部活動に限れば、今後も勝ったり負けたりと

お互い切磋する時代が続くと想像するが、

負けがあるから勝った時の喜びも大きく、達成感も大きい。

そもそもスポーツの世界に常勝なんてない。

子供達が良き指導者の教えを踏襲し、

社会人になった時に活躍したり、

信念を継続する難しさ故の尊さを理解してくれたら、本望と考える。

世間一般から見たら、少々足りないところがあろうと、

とんでもなく不器用だろうと、まともな親なら、

自分の子供を嫌いな親はいない。

だからこそ、愛情を間違ったり、

誤った方法で与えてしまう事が多々ある。

それは得てして、親自身が見えてなかったり、

無意識に振る舞う事が多い様にも感じる。

私自身もその一人なのは間違いなく、

だからこそ「道徳」をしっかりと持ち、

このような立派な指導者に教えを頂いた子供の保護者として、

恥ずかしくない行動や振る舞いを

行わなければと常に心掛けているのだが・・・

この生徒達もやがては、

結婚し子供を授かり人の親になるだろう。

その時にこんな親に大人になりたいと手本にされたら、

それこそ本望である。

 

 手本になるべく保護者は合縁奇縁の仲で、

且つ明るく賢い方々ばかり。

お笑いのセンスも抜群でギャグセンスのIQは限りなく高い。

喫煙もすれば、酒量も半端ではない。(全員ではありません)

その様な仲間と週末は、いつもの道場へ集合して、

バカ話に花でも咲かせようかな・・・
 
 

中村