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方針 (2/2回目)


マックシステム (2013.04.11 09:00) | 代表コラム|

 それは先輩方が出場した団体戦を

初めて目にした時だった。

7人制の団体戦、3-3からの大将戦。

勝った方がインターハイ出場の大一番。

大将は自分の責任を全うし、僅差で勝利した。

勝利の喜びを生徒と抱き合い、

満面の笑みの先生の表情は、

共に闘う、生徒と先生ではなく、

共に喜びを分かち合う、

指導者でもあるが、それ以上に堅い絆の仲間であった。

32年連続IH出場という、偉業の瞬間でもあった。

 これまで見てきた指導者は、ほぼ例外なく、

勝った時は自分の指導力を自慢げにし、

負けた時は、生徒を叱責している姿だったが、

この目の前の共に泣き笑う、

先生と生徒の関係が羨ましく感じたと同時に

この人の目的は何か?

不思議に感じた瞬間だった。

あれから7年、不思議に感じた、

この人の目的がなんなのかは

時間の経過と共に信頼へと変わって行った。

県予選の成績は強豪チームの補強により、

ここ5年は団体戦で負け、個人戦でも

少数しかIH出場が出来ていない、苦しい状況が続いたが、

毎週、各方面からOBやOGなどが練習に参加し、

保護者も兄弟(兄妹)をチームに送るようになり、

人の輪が徐々に大きくなっていった。

周りの方々は何故にこうも、

協力を惜しまないのか?

それは子供が学校を卒業しても、

自身が学校を卒業しても、

陰日向となり、生徒やチームを支える事実。

その答えは、チームの目先の勝ち負けよりも、

子供達の将来を見据え、

これまで勝てなかった子供達が勝って、

別次元の世界を経験させたいと思う心。

いくら才能があっても、実績を積んでも、

年齢と共にやがては衰え、

スポーツの世界では活躍出来なくなるのが分かっている。

それは社会人として生きる時間が遥かに長く、

人間形成が大切だと言う事を誰よりも分かっている事。

人としての考え方や対応を教え、

心の在り方を練習や試合を通じて教える事。

これが、最大で唯一の目的だった。

 ごく一部の誰も知らない、他愛もない話ではあるが、

その考えは我々社会人にも通じる事であり、

ましてや原理原則を貫き、実践出来ている人間を

探す事は容易でない。

別にカリスマ指導者でもなく、

オリンピック出場等の際立った実績もないが、
(大学、社会人ではチャンピオン)

強靭な精神と自身の努力で実績を残している昭和な指導者である。

この道場には、皆が集い、他人を想いやる心が溢れている。

それは、長い時間模索し、ゆるぎない方針を確立した指導者の

心の中が反映された、空間だからであろう。

中村